実はひとつだけではないTSA Pre✓®（TSA事前審査プログラム）申請方法

TSA Pre✓® をご存知ですか？

アメリカの空港を利用されたことがある方は、保安検査の列で TSA Pre✓® のマークを見かけたことがあるのではないでしょうか。

TSA Pre✓® は、事前に登録することによってアメリカの空港で保安検査をスムーズに通過できるプログラムです。

この記事では TSA Pre✓® とその他の空港保安検査関連プログラムについてお伝えします。

TSA Pre✓® とは

TSA Pre✓® は、米国運輸保安局（TSA）が運営する事前審査プログラムです。

事前に TSA Pre✓® に申請し、許可を受けることによって、次のようなことが可能になります。

荷物検査の前のIDと搭乗券チェック時に、TSA Pre✓® 専用の列に並べます
荷物検査では、靴やベルト、軽い上着は着用のまま、ラップトップや規定以内の容量の液体は荷物に入れたままでOK
X線もしくはミリ波による人体検査は、手足を広げて静止して360度スキャンされるものではなく、ゲートの下をくぐるだけで済みます

以上のことから、通常は TSA Pre✓® の列のほうが一般の検査の列に並ぶより検査所要時間が短くて済むのです。（大都市の空港ではごく稀に TSA Pre✓® の列のほうが混んでいることがあります）

アメリカの一般荷物検査あるある

空港の荷物検査ってなんだか短時間にすることが多くて、軍隊っぽいと感じる方もいるのではないでしょうか。

長い列に並んでやっと ID チェックが終わったと思ったら、次は荷物検査のための列に並びます。

そして自分の後ろのとても荷物が少なくて機嫌悪そうな人の存在を感じつつ…

必要数のトレーを確保
機内持ち込みバッグをトレーに置く
ジャケットを脱いでトレーに置く
ブーツを脱いでトレーに置く
ベルトを外してトレーに置く
スーツケースを台の上に乗せる
スーツケースを開けて自分用と仕事用のラップトップやタブレットを取り出し、重ねて置くと再検査なので各トレーに1台ずつ置く
香水など液体の入った透明のポーチをトレーに置く
過去再検査になったものをトレーに置く

そして自分のトレーすべてがベルトコンベアーに乗ってX線エリアの黒いカーテンの中に入ったことを確認し、ようやくミリ波スキャナーの列に並びます。

自分の番がきたらガラスケースに入って手足を広げた格好で静止。

そしてなぜか身体の一部が反応して再検査。

再検査は身体に触れる検査なので、女性係員の手が空くまで待たされます。

やっと女性係員が登場し、「スカートの中を触るので別室に行きますか？」と気を使って聞いてくれたりしますが、もうすでに各作業で疲れているうえに搭乗時間が迫っているので遠くの別室に行く気がせず、「いえ、ここで大丈夫です」と女を捨てる発言をしてしまう…。

そしてなぜかランダムチェック（任意で行われる抜き打ち検査）に自分のトレーが選ばれ、X線検査でひっかかった荷物を検査するエリアに移動。手、ラップトップ、化粧ポーチの中、スーツケースのすみずみまで綿棒やワイプで拭かれて、爆発性トレース探知機にかけられて大幅時間ロス。

ランダムチェックは TSA Pre✓® レーンでも時々ありますが、特に搭乗時間ギリギリで動いているときにはダメージが大きいですよね。

TSA Pre Check — https://skift.com/2016/05/25/firing-of-tsa-security-chief-wont-fix-u-s-airport-line-congestion/

私が TSA Pre✓® 好きな理由

私が個人的に TSA Pre✓® を気に入っている理由には次のようなものがあります。

列に並んで待つ時間が短い
スーツケースを開けて物を出す必要がない
ブーツを脱がなくていい（注：靴の金属部分（特にヒールの中が金属芯の場合）にスキャナーが反応するとアラームが鳴るので、靴を脱いでもう一度スキャナーを通ることになります。空港によってスキャナーの精度はまちまちです。私はとりあえず履いたまま通って様子をみます）

とはいえ、「TSA お金返して!」と思うこともたまにあります。

小さな空港で TSA Pre✓® レーンが閉まっているとき（ラミネート加工されたカードを渡されて、それを係官に渡せば靴と軽いジャケットの着用はOK。でも液体やラップトップはスーツケースから取り出さないといけない。この作業をしたくなくて TSA Pre✓® を利用しているのに…）
荷物検査で一般検査のほうが TSA Pre✓® よりレーン数が多くてスムーズに流れているとき
TSA Pre✓® の列のほうが一般の列より長い逆転現象に遭遇したとき（空港と時間帯によって極まれにあります）

TSA Pre✓® には誰でも申請できるの？

TSA Pre✓® は、米国市民権もしくは米国永住権（グリーンカード）をお持ちの方が申請できます。

米国市民権か永住権をお持ちでない方は、 TSA Pre✓® は利用できませんが、アメリカの免許証があれば民間系の CLEAR というサービスで ID チェックの待ち時間を短縮する方法もあります。

CLEAR については、下記６．空港で見かける青い看板のCLEAR とはをご覧ください。

TSA Pre✓® の特典が自動的についてくるTSA Pre✓® 以外のプログラム

Global Entry、Nexus、SENTRI と呼ばれる米国税関・国境取締局 CBP が運営するプログラムには、米国市民権または永住権保持者であれば TSA Pre✓® の特典が自動的についてきます。

この中で特におすすめは Global Entry です！

TSA Pre✓® より料金は若干高くなりますが、海外からアメリカに帰国したときの入国プロセスが圧倒的にスムーズになります。

ほとんどの空港で顔認証のみでキオスクを通過でき、検査官の窓口でのやり取りも驚くほど短時間で終了します。

空港で見かける CLEAR とは

Image Source: https://www.clearme.com/how-it-works

大きな空港で、青いベストを着た係員がいるいつもガラガラのレーン、CLEAR を見かけたことがありませんか？

CLEAR は民間企業 Alclear, LLC が行う生体認証プログラムです。

ID カードのかわりに指紋と虹彩で個人を認証します。

CLEAR の最大のメリットは保安検査の一番最初の ID と搭乗券チェックが短時間で終わり、TSA Pre✓® および一般の列で待つひとたちの先頭に入り込めることです。

CLEAR では TSA Pre✓® が自動的に利用できるわけではないので、CLEAR で ID チェックが終わった後は、TSA Pre✓® を持っていれば TSA Pre✓® の荷物検査の列、持っていなければ一般用の荷物検査の列に並びます。

CLEAR を使うメリットには次のようなものがあります。

ID チェックの長い列に並ばなくて済む
ID カードを出さなくて済む
スポーツ施設など空港以外でも利用可能（アメリカではコンサートやスポーツの試合では保安検査があることが多いです）

TSA Pre✓® が米国市民権か永住権を持っている人しか利用できないのに対し、CLEAR は米国の運転免許証があれば申し込めます。

料金は年179ドル、家族3人までひとり50ドルで追加可能で、CLEAR 利用の大人と同行する18歳未満の子どもは無料です。（2018年5月現在）

必見！TSA Pre✓® 申請費用を浮かせる裏ワザ

現金を使わずに TSA Pre✓® を申請できる方法もあります。航空会社のマイレージを利用したり、クレジットカードの特典を利用する方法などです。特に年会費のかかるクレジットカードの特典に含まれていることが多いので、利用規約をチェックしてみましょう。

旅行者番号 KTN

申請が許可されると旅行者番号 KTN (Known Travelers Number) が発行されます。

航空券の予約時にこの番号を入力することで、搭乗券に TSA Pre✓® が表示され、 TSA Pre✓® の列で検査を受けられるようになります。

Global Entry、NEXUS、SENTRI利用の方はパスID を KTN として入力しましょう。

マイレージプログラムの自分のアカウントに KTN を登録しておいて、予約するときには自動的に表示されるようにしておくのがおすすめです。

注意する点は、TSA Pre✓® も Global Entry も、搭乗券に TSA Pre✓ の表示がなければ一般の列に並ぶことになります。

もし入力し忘れていたり、何かの手違いで搭乗券に TSA Pre✓® マークが表示されていないときは、航空会社のアプリのアカウント情報に KTN を入力してから、搭乗券をもう一度表示させるとうまくいくことが多いです。