前回に続き、わたしが40歳を過ぎてアリゾナ大学を卒業し、アメリカで就職したときのことを4回にわけてお伝えしています。

今回は面接編です。

前回の記事をまだ読んでいない方はこちら↓

メリカで就職したときのはなし① ジョブフェア突撃

電話面接 Can we have a little chat?

電話面接ではまったく緊張しませんでした。

理由はこのマネージャーの男性の明るく話しやすい人柄が大きいのですが、もうひとつ、彼の声が最初微かに震えていたので、あれ?向こうの方が緊張してる?と余裕を持ってしまったのです(笑)

もちろん、声が震えて聞こえるのはその人の体質や声の出し方が原因で、必ずしも緊張しているわけではないのですけどね。

電話面接の連絡のメールは Can we have a little chat? とカジュアルなかんじで書かれていたのですが、念のため電話の前にひととおり会社のウエブサイトとオンラインショップの商品をチェックしていました。

仕事内容や工場が完成するまでは自宅勤務になることなどを説明してもらった以外は、15分くらいかな?軽いお喋りといったかんじだったと思います。

もちろん、彼サイドではわたしがこれから育てていくチームにふさわしいかを色々チェックしていたのでしょうけど。

どうやら電話面接では無事まともな人認定を受けたらしく、後日メールが来て、二次面接をセットアップ。

アリゾナに建設中の工場の近くで社長をはじめマネージャーが揃って面接をする日があるので、そのときに来れないかと打診されました。

でも、その週はわたしはデンバーの娘のところに行く予定になっていたので、現地に行くかわりにスカイプで面接をすることになりました。

Zoomではなくスカイプっていうところが、なんだかすごく大昔に感じますよね。

スカイプ面接 

スカイプ面接当日の朝、マネージャーから面接には社長と人事の女性が同席しますと連絡がありました。

すぐに確認の返事をしたのですが、面接の1時間前になって突然疑問が…。

社長(our president)って…アメリカ人の社長?それとも日本の親会社サイドの社長???

というのは、当時その会社には、先日のジョブフェアで会った白人の社長さんのほかに、日本人のチェアマンという肩書の方もいたのです。

さらに、親会社が日本にあり、当然そこにも社長さんがいます。

相手がアメリカ人か日本人かでわたしの出方も変わるわけで…。

う~ん、ややこしい。

早く気づいていたら確認の返事のときについでに聞けたけど、こんなことを聞くだけのためにメールするのもなんだか気がひけます。

ですので、念のため日本の親会社のウエブサイトも読み込むことにしました。

結局面接に登場したのは件のアメリカサイドの社長さんで、日本の会社については一切聞かれることはなかったのですが、

会話の中で使える情報が色々あったので、日本の親会社についてリサーチしたのは良い結果につながりました。

*****

さて、アポイントメントの朝10時。

スカイプ面接はまるでお約束のようにわたしの声がよく聞こえないトラブルが発生し、最終的にスカイプとは別のビデオ会議プラットフォームでの面接になりました。

画面にはホテルのロビーか会議室の3人。

電話で話し、既に何度もメールをやり取りしていたマネージャーの男性は思ったとおり明るい表情。

ジョブフェアで会った人事の女性は、画面向こうからハイ、ユキ!と笑顔で手を振っています。

社長さんも、ハイ、ユキ!アリゾナで会えなくて残念だよ。今カリフォルニア?と声をかけてくれました。

わたしはデンバーにいたので、誰かわたしみたいに現地に来れない人がカリフォルニアでビデオ面接してその人と間違ってるんだろうくらいに思っていましたが、

もしかすると、当時のフェイスブックのプロフィール写真がカリフォルニアで撮ったものだったので、それを採用側でチェックしていたのかもしれませんね。

社長さんは飛行機の時間ぎりぎりまで参加ということで画面にスーツケースも写っています。

こうしてカジュアルなかんじでスタートしましたが、スカイプ面接は電話面接のときとはまったく違うフォーマルな面接で、アメリカで就業経験のないわたしには返答が難しい質問が最初から続出。

わたしの歯切れの悪い返答に、社長さんをはじめ3人のテンションはどんどん下がっていき、

面接は相当盛り下がっていきました(涙)

電話なら沈黙とか声のトーンくらいしかわかりませんが、ビデオだと相手の表情などビジュアルで雰囲気が伝わりすぎるくらい伝わってくるので、臨場感がぐさぐさ心に刺さります(泣)

後で聞いたのですが、社長さんは未経験者の採用を信じていないタイプの人でしたので、アメリカで就業経験のないわたしの採用にはあまり積極的ではなかったのです。

でも、結果的には社長さんの一番最後の質問へのわたしの答えを彼がとても気に入って大逆転したらしく、

後日マネージャーから、面接後社長が何度も Did you hire her yet? とせっつくので採用したんだと聞かされたのでした。

面接の流れを変えた質問

「会社はコミュニティーの中でどうあるべきか?」

これが社長さんの最後の質問でした。

あなただったらどう答えますか?

以下わたしの答えです。

会社はコミュニティと共に成長し続ける存在であるべき。

会社がコミュニティから人を雇って利益を上げ、その利益で事業を拡大し、利益の一部をコミュニティーに還元してコミュニティーも成長する。

良いコミュニティーには良い人たちが集まるので、会社は良い人材を獲得しやすくなる。

良い人材を得て会社はさらに成長し、その利益の一部をまたコミュニティーに還元して、コミュニティーも成長し続ける。

これを繰り返しながら、会社とコミュニティは常に与え合う存在として、拡張し続けるスパイラルの中で共に繁栄し続けるべき。

そういう意味で、日本の親会社が地元のスポーツチームや文化活動をサポートしているのと、震災の際に地元に大きく貢献した功績は本当に素晴らしいと思う。

運よく日頃から考えていることだったので淀みなく話すことができ、また、直前にリサーチした日本の親会社の知識が大いに役に立ちました。

何よりさっきまであからさまに盛り下がっていた社長さんが、突然目を輝せてニコニコ頷きながら聞いてくれたので、面接の流れが変わったのがわかりました。

こんなかんじで、わたしがこの面接で採用されたのは、どこの大学を出たかでも、どこの会社に勤めていたかでも、どのプログラミング言語ができるかでもなく、社会に対する考え方だけが決め手だったというわけです。

社長さんが空港へ出発した後も面接は続きました。

しかし、一瞬確実に良くなったはずのその場の雰囲気でしたが、

人事の女性からの「職場で〇〇だった経験と、そのときあなたがどう対処したかを話してください」などの経験がないので答えにくい質問の数々に対して、わたしの口から決め手になるような気の利いたことはまったく出なかったので、

わたしは面接官を巻き添えに、盛り下がりの坂をものすごいスピードで転がり落ちていきました。

そして、とうとうそこから復活することなく、手応えイマイチなかんじのまま終了してしまったのです。

いやぁ、なかなか厳しい1時間でした…。

社長さんが気に入ってくれたことなど当然知らなかったので、面接が終わったときには、

終わったな、わたし…。

さようなら〇〇(会社名)。

と別れを惜しみ、

さ、次いこ、次!

と即リセットモード入ってましたね。

ですので、この後マネージャーからメールで3度目の面接の打診があり、

By the way, I’m going to give you an offer.

と書いてあったので、心底驚きました。

つづく

アメリカで就職したときのはなし(全4話)

①ジョブフェア突撃

②面接で私が社長の心を掴んだ決め手

③新卒未経験で給与交渉、する?しない?

④入社初日まさかの大失敗

Photo by Mateus Campos Felipe on Unsplash

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