わたしが40歳を過ぎてアリゾナ大学を卒業し、アメリカで就職したときのことを4回にわけてお伝えしています。

最終回の今日は入社1日目に早速やらかした大失敗の巻、です。

入社日の朝

オファーをもらってドキドキの入社1日目、

ツーソンからLA経由でシカゴに飛び、そこで上司と合流して宿泊先へ向かうという、移動だけの日でした。

楽勝です。

ですよね。

しかし、まさか、

信じられないことに、

飛行機に乗り遅れましたよ。

ええ。

もう、ほんとに残念すぎて、今考えても気が遠くなります。

上司が手配してくれたフライトは早朝ツーソンからLAに飛び、長~い待ち時間を経てシカゴへというものでした。

そして、その朝、なぜかわたしの携帯のアラームは鳴らなかったのです…。

目が覚めると、携帯に触った記憶はまったくないのにアラームのスヌーズボタンを押した画面がたくさん出ていて、時刻はすでに飛行機が出る1時間前を切っています。

その当時住んでいたアパートから空港まで車で25分。

幸いパッキングはしていたし着る服や靴も用意してあったので、人生最速で着替え、お化粧もせずに家を出て空港まで車を飛ばしました。

ツーソン空港

空港内を走り(わたしが走るのは飛行機に乗り遅れそうなときだけ)

ゲートに着くと、ドアは閉まり、し~んと静まり返っています。

ハァハァ息の荒いわたしに、もう搭乗締め切りました、と冷静なカウンターの女性。

ですよね。

出発時間5分前です。

カウンターの女性は、走ってきたのと絶望で酸素足りなくなりそうなわたしを前に、表情ひとつ変えず受話器を取って、ゲートの外で今にも動き出しそうな飛行機に連絡を入れました。

「…そうなのよ、今来たの(とわたしをチラッと)…」

会話が続いていたので、もしかして乗れそうな気が一瞬しましたが、

「…Yeah, she has carry-on…」

このひとことで、わたしは乗れないことを悟りました。

あぁ(号泣)

彼女が受話器を置くとまもなく飛行機は動きだしました。

飛行機の音がだんだん小さくなっていくのを聞きながら頭真っ白になっているわたしに、カウンターの女性が聞きました。

「次のシカゴ行きの飛行機に乗りますか?」

え!!!

ツーソンから直で飛べるフライトがあるの?!

到着時間を聞いたら、LAから乗るはずだったフライトより少し早く着きます。

そちらに乗れるなら、むしろラッキーじゃない!

Yes please!!!

すると、この女性、こう付け加えました。

「それじゃウエイティングリストに入れときますね」

………は?

ウエイティングリスト?

「Right, the flight is COMPLETELY full.(このフライトは完全に満席です)」

あ~もう、

全然ダメじゃん!

4つのオプション

その瞬間わたしの頭に浮かんだオプションは4つありました。

1.上司に乗り遅れたと正直に言って、指示を仰ぐ
2.この満席フライトのウエイティングリストにかける
3.自腹でLAに飛んで、LAからの乗継便に乗る
4.自腹でシカゴに飛ぶ

オプション1は、会社で伝説となって語り継がれることでしょう…。

「ユキ?あ~初日に飛行機に乗り遅れたあの人ね(笑)」みたいな。

なにより、まだ仕事を始める前から上司の信頼を失いそうです。

う~、そんなのイヤ。

絶対イヤッ。

オプション2は、ここで待っていればいいので一番簡単だけど、予約客が全員来たらアウト。

ならばオプション3か4しかない。

とりあえず椅子に座ってツーソンからLAとシカゴ行きのフライトを検索しました。

LA行きはなんと全滅…。

となると、シカゴ行き。

シカゴにはオーヘア空港とミッドウエイ空港があり、私が上司と落ち合うのはオーヘア空港の方。

でも当日のツーソン~オーヘア間のフライトはオンラインでは Information not available となっているものばかり。

しょうがないので、ツーソンからオーヘアに乗り入れている航空会社に片っ端から電話をかけることにしました。

ラッキーなことに一番最初に電話したユナイテッド航空でツーソンからシカゴに飛ぶ便が見つかりました。

「最後のひとつが空いてますよ!」

値段もエコノミーで悪くありません。

喜んで電話で手続きをしてもらい、最終確認。

「では2月〇日、明日のツーソン・シカゴ便の…」

ちょ、

ちょっと待って!

明日じゃなくて今日ですよね?

「え?明日じゃなかったんですか?」

「…」

出たっ。

もう一度やり直しです。

そして、最悪なことに今日は満席ですとのお答え。

電話を切り、他の航空会社に電話しましたが、どこも満席です。

う~。

イヤだ~、ウェイティングリスト頼みはイヤ…。

そのとき、ふと、フェニックスから飛べないかしら?とひらめきました。

ツーソンからフェニックス空港まで車で1時間半ちょっとです。

検索すると、今からツーソンを出ればなんとか乗れそうな便でシカゴ行きがあります。

到着時間ももともと乗るはずだったLAからの便とほぼ同じ。

残席1です。

もうこれしかないでしょう!

オンラインでチケット即買いです。

さっき車をとめたばかりの駐車場に戻り、I-10にのってフェニックスに向かいました。

運よくフェニックス空港はつい最近利用したばかりだったので、駐車場など空港周りのアクセスがわかっていて精神的にも少し余裕です。

幸い道路は渋滞していなかったので、フェニックス空港にはスムーズに到着。

当時はまだTSAプレチェックを持っていなかったので、セキュリティーの長い列を抜けるのに時間がかかりましたが、それでも余裕をもってシカゴ行きの飛行機に乗りこみました。

シカゴ・オーヘア

無事シカゴに到着したのは、夕方5時過ぎ。

上司の到着予定時刻の10分前でした。

わたしが乗るはずだったLAからの便も定刻で到着しています。

上司のフライトの到着ゲートへ向かっていると、彼からメッセージが入りました。

Just barely touched down. Did you arrive yet?

う~ん、まさか飛行機に乗り遅れて違うフライトで来たこととかバレてないよね…。

Yes, I did! I’m walking toward your gate. See you there.

そして涼しい顔で上司と落ち合い、レンタカーオフィスへのシャトルバス乗り場へ向かいました。

雪が横殴りに降っています。

上司が聞きました。

「ディナーは何が食べたい?」

「肉がいいです」

これがわたしの入社第1日目でした。

写真: Gabrielle Henderson on Unsplash

アメリカで就職したときのはなし・おわり

アメリカで就職したときのはなし(全4話)

①ジョブフェア突撃

②面接で私が社長の心を掴んだ決め手

③新卒未経験で給与交渉、する?しない?

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