ツーソンをはじめアリゾナのレストランでの食べ歩き情報をお伝えしている Tucson Tuesday。
食べ歩き情報は、いつも食べ物のことばかり考えているわたしが、友人からおすすめを聞かれたときに教えてあげるお店を、お店の承諾なく勝手にとりあげています。
この記事では、ツーソン・ミッドタウンのベーカリー Nadines Bakery をご紹介します。
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クロワッサン難民
食べもののお店に限らず、そこにあることは知っているけどいつも素通りしているものってありませんか?
特に車社会のアメリカでは、素通り率が上がるかも。
その日、早朝の用事を済ませて運転していたわたしは、ふと美味しいクロワッサンが食べたいと思いました。
イタリア旅行中に毎朝クロワッサン(ローマではコルネットという名前でしたね^^)を食べて、朝ごはん=クロワッサン=幸せ?というイメージが刷り込まれてしまったので、ときどき無性にクロワッサンが食べたくなるんです。
それも、そのへんのどうでもいいクロワッサンではなくて美味しいのが食べたい。
ツーソンの北のほうなら、AJ’s のベーカリーで解決なのですが、わたしは南にある空港から帰宅途中だったので、AJ’s はちょっと遠すぎ。
そこで、Broadway Blvd沿いのBisbee Breakfast Club の並びに良さそうなベーカリーがあったのを思い出しました。
早速行ってみます。
そのとき、まだ7時台でした。
パン屋さんなら早朝から開いているだろうという勝手な思い込みは見事にはずれ、開店は9時とドアに書いてあります。
グーグルで場所を調べたときに開店時間もちゃんと見ればよかったのですね…。
あぁ。
そうだ、しようがないからお隣のカフェで朝ごはんと思ったら、足元が家の中用のビーチサンダルだということに気づいてしまいました(呆)
あ~ん、この足元ではカフェはムリ。
車に戻って、次はチェーン店のベーカリーカフェ、パネラに行ってみます。
そこでまさかの “We don’t have croissant.”
…えっ???
クロワッサンってパン屋さんの定番中の定番では???
パネラでクロワッサンを食べたことは確かにあるので、その朝だけなかったのかもしれないのですが、信じられない気持ちを抑え、次に別のチェーンベーカリーカフェBeyond Breadへ。
そして、そこでもまさかの「クロワッサンはありません。」
そんな~!!!
ほかにもベーカリーカフェが2店あるけど、そこは以前クロワッサンを買って、トーストしますか?と聞かれたのでお願いしたら、パニーニプレスでトーストされてぺちゃんこになったクロワッサンが出てきたところ。(サンタクルーズのスタバでも同様の事件発生)
そんなわかってないお店には行きたくないし…。
スタバにクロワッサンがあるのは知ってるけど、ベーカリーでいちからちゃんと作ったクロワッサンが食べたい…。
(ここは、こだわりを捨ててスタバに行ったら解決した場面ではありますね^^)
そのとき、ふと、あと1店オプションが残っていることに気づきました。
Broadway Blvd 沿いの青緑色のサインのあのベーカリー。
いつも素通りして一度も行ったことがなかったのは、その青緑色(teal)のセンスがなんか違う…と違和感を感じていたから。
そもそも青系の色って食欲を押さえる色だから飲食店に使うのはどうなのかしら?
でもでも、緊急事態なので行ってみました。
いつも素通りしていたお店
看板の色から察するに、失礼ながら古臭いお店なのだろうと思いながら、お洒落さなどはさらさら期待せず、お店の前に車をとめます。
まだ8時前、だけどわたしと同時に2台車がやってきて、これから出勤風のひととシニア夫婦がお店の中に入っていきました。
私も入ってみます。
店内は、期待を裏切らず、昔からあるお店といった趣き。
外から見るより奥行が深く、ショーケースとレジのむこうがかなり広いキッチンになっているようで、作業しているひとたちが見えます。
入って左横の冷蔵ケースにはデコレーションケーキが、正面のケースにはクッキーといろいろな種類のペイストリー。
あら~想像していたより美味しそうだし、種類も豊富。
ショーケースの中をじっくり観察していると、先に来ていたお客さんと店員さんのやりとりが聞こえてきます。
「クロワッサンある?」
「ありますよ。今日はもうあと3つしか残ってないけど。」
な、なんですって?!!!
「じゃぁ、ふたつもらうよ。」
なんと、おじさんがふたつ買ってしまいました。残りはあとひとつ。
そして、わたしの前にもうひとり順番を待っている女性がいます。
あぁ、彼女がクロワッサンを買ったら一貫の終わりです!!!
心の中で必死にお祈りです。
「お願いです、彼女がクロワッサンを買いませんように…」
すると彼女がわたしのほうをふりむいて「You can go ahead」と言うではありませんか!
きゃ~?
彼女の気が変わらないうちに、大いそぎで最後のクロワッサンをゲット!
ついでに、なにやら美味しそうなチョコレートとアーモンドのペーストがまきまきしている焼き菓子も買ってみました。
家に帰って、コーヒーを新しく入れて、クロワッサンをひとくち。
あぁ~?
外側は適度にパリッ、そして中はフワッ、しとっ、ちょっとだけモチっ。
バターと小麦粉の甘みがじんわり。
あぁ、本物のクロワッサンです。
幸せすぎる~。
下の写真は、一緒に買ったまきまきしている焼き菓子 Chocolate Almond Tea Biscuit。
わたしの好きなチョコ+ナッツ+シナモン風味です。
ちょい甘めなので、少しずつ。
そうそう、レジの女の子のおすすめは、月曜と金曜限定のベアクロウ(ナッツのフィリングが入っている、アメリカでよく見かけるペイストリー)だそう。ジャガイモのフィリングの入った甘くないパンもディナーにぴったりで好きだと言ってましたよ。
Nadines Bakery はもう30年以上もツーソンで営業しているそう。
そして、Fully Kosher を謳うベーカリーです。
あ、Kosher (日本語だとカーシェールというのですね…英語読みはコーシャーに近いです)って聞いたことありますか?
ユダヤ教の食のきまりにそった食べものをKosher food といいます。
わたしは恥ずかしながら調理する前にお祈りを捧げた食べものだと思っていたのですが、いろいろ細かいきまりがあるようですね。興味のある方は wikipedia のカーシェールの食べ物を参考にしてみてください。
なるほど、いわれてみればユダヤ教のかたが食べる Challah(ハッラー)特有の編んだかたちのパンがたくさんありますね。
あと、Nadines Bakery はウエディングケーキなどのデコレーションケーキで有名なようです。
わたしは食べたことがないのですが、写真を見るとデザイン的には日本人ウケはうーんちょっと微妙かな。
レビューはいいので、アメリカ人向けに特別なケーキを用意しないといけないときなどにいいかもしれませんね。
キャラメルアップルも美味しそうでした。
日本のりんご飴も好きだけど、アメリカのキャラメル+ナッツ+りんごの組み合わせ、わたし結構好きです。
Nadines Bakery 場所とレビュー
4553 E Broadway Blvd
Tucson, AZ 85711
見かけって大事?
今日はいつも素通りしていたお店に行ってみたら、思っていたよりよかったというおはなしでした。
こういうことって結構ないですか?
以前 【ツーソン】Kung Fu Noodle で牛肉麺を食べるでご紹介した Kung Fu Noodle もそうです。
わたしはお店の前を何年も通っていたのに、一度も行ってみたことがなくて、初めて牛肉麺を食べて美味しくてびっくりしたときに思ったんです。
どうしてもっと早く来なかったのかって。
ふたつのお店に共通するのは、入ってみたい?と思わせる外観ではなかったということです。
お店の外観については、わたしに対しては行ってみたいと思わせる効果はなかったけれど、もしかしたらお店が来てほしいと思っているターゲット層にはアピールするものがあるのかもしれないので、ここでは語らずにおいておきます。
でも、わたしたちが外側だけで判断すると見落とすことがあるというのは、覚えておいて損がないですよね。
お店だけでなくてひとを見るときも。
そして、その逆で、自分がお店側の立場になっているケースもありえますよね。
自分の外見や佇まいが理由で、惹きつけたいひとやビジネスなどを遠ざけているかもしれない。
わたしは、人間は外側をはがしてしまえばみんな同じある意味グロテスクな筋肉標本だと思っていて、見た目より断然中身派ですが、自分の外見が自分にどう影響しているかについては一考する価値はあると思います。
おわりに
いかがでしたか?
その後も、Nadines Bakery のクロワッサンをリピートしていますが、毎回安定した美味しさです?
あなたにも日ごろ素通りしているお店、ありませんか?
もしかしたらそこ、アタリかもしれません。
ハズレのときは何も買わずに出てくればいいだけなので、ときにはドアを開けてみるのもいいかもしれませんよ。