マンジャの塔
プブリコ宮殿の中庭から見上げるマンジャの塔
Credit: Yuki Kai

マンジャの塔(Torre del Mangia) は、カンポ広場に建つシエナのシンボル的な塔です。

塔の建設はおよそ700年前の1325年に始まり、黒死病が広がり始める直前の1348年に完成しました。

全長87m、避雷針を入れると102mで、クレモナの鐘楼トッラッツォ(112m)、ボローニャのアシネッリ塔(97m)フィレンツェのアルノルフォ塔(94m)などと並び、中世のイタリアの塔の中でトップクラスの高さを誇ります。

マンジャの塔は教会とシエナという都市が同等の権力を持っていたことを示すべく、 シエナのドゥオモの鐘楼と同じ高さに造られたはずなのですが、実際はドゥオモの鐘楼の高さは77m。

ひそかに教会を出し抜いていたのかしら?と思いきや、ドゥオモはマンジャの塔より高台にあるので、地上から見るとどちらの塔も同じような高さに見えるということになっているようです。

マンジャの塔
シエナの街にマンジャの塔の鐘の音が響きます。
Credit: Yuki Kai

マンジャの塔はシエナの近隣都市アレッツォの芸術家 ディ・リナルド兄弟(Francesco & Muccio di Rinaldo)が設計し、建築は アゴスティーノ・ディ・ジョヴァンニ(Agostino di Giovanni)に任されました。

塔上部の白い大理石と石の部分は、ゴシック期シエナ派の代表的な画家シモーネ・マルティーニと義理の兄リッポ・メンミのデザインです。

シモーネ・マルティーニとリッポ・メンミは、わたしがウフィツィ美術館で見て衝撃を受けた「受胎告知」(元々はシエナ大聖堂のために描かれたものです)の作者です。

シモーヌ・マルティ-ニ/リッポ・メッミ作「受胎告知」
シモーヌ・マルティ-ニ/リッポ・メンミ 受胎告知
Credit: Yuki Kai

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さて、このマンジャの塔にのぼって、トスカーナの景色を眺めることができますよ。

わたしたちは今回塔にのぼらなかったのですが、レビューによると、時間指定のチケットを買い、貴重品はロッカーに入れて(荷物があると降りてくる人とすれ違えないから)、狭い階段を延々、延々、延々…とのぼるようです。

のぼるのはかなりキツそうですが、マンジャの塔から眺めるトスカーナの風景は相当素晴らしいようですので、時間と体力がある方はのぼってみるべきでしょうね。

特に晴れの日には青空とシエナの赤茶のレンガ色(英語の色の名前 Siena の語源です)、田園の緑のコントラストの美しい写真が撮れるのではないかと思います。

マンジャの塔と鳩

マンジャの塔
マンジャの塔
Credit: Yuki Kai

わたしは宿の窓から見えるマンジャの塔の姿がとても気に入って、時間があれば眺めていました。

眺めても眺めても飽きなかったのです。

青い空をバックグラウンドに、鐘の音と、鳩の羽ばたき音がとてものどかで、 ほんの数日の滞在にもかかわらずこの塔にはとても愛着がわきました。

そしてなんと、塔の側面の無数の穴をパタパタと飛んで移動して遊ぶ(?)鳩を眺めていたおかげで、幼少時に言葉が話せない頃から徹底的に嫌いだった鳩のことを、なんだかそこまで嫌わなくてもいいかなと思えるようになりました。

徹底拒絶だったのに、自分でも不思議です。

あ、遠くにいる鳩が平気になっただけです。

鳩のプレゼントとかはお願いですからご遠慮ください。

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