このブログではこれまでに数々の「ご紹介します」「おすすめです」という言葉を使って、わたしの趣味をひとさまに押し付けてきました(笑)。

今回も、例に漏れずそんなおはなしです。音楽は幅広く好きなわたしの地元のお気に入り、フェニックス・シンフォニー(Phoenix Symphony)をご紹介します。

記事の前半は、フェニックス・シンフォニーのオープニング・ウィークエンドの体験談、後半は、シンフォニーは初めての人も気軽に行けるように、コンサートガイドになっています。参考になれば幸いです。
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文化のない都市ってつまらない

地元のオーケストラ、フェニックス・シンフォニー、大好きです?。

フェニックス・シンフォニー以外にも、アリゾナ・オペラ(Arizona Opera)も、ツーソン・シンフォニー(Tucson Symphony Orchestra)も、シエラ・ヴィスタ・シンフォニー(Sierra Vista Symphony Orchestra)も好き。美術館や劇場もいいですね。

地元でわたしたちに文化を与えてくれる団体はサポートしたいと思っています。

だって文化のない都市ってつまらないから。

街にスポーツチームがあれば盛り上がるし、わたしもスポーツ観戦は大好きだけど、それだけでは物足りないですよ、絶対に。

City without culture sucks です。

で、どうやってそんな団体をサポートするかですが、とっても簡単です。

ただ自分が興味のあるコンサートやイベントを見に行くだけ。これだけで、チケット収入と観客動員数でその団体に貢献できます。もっとサポートしたくなったら、シーズン通しのチケット会員になったり、寄付をしたり、ボランティアをしたり、色んな方法がありますね。

 

オープニング・ウィークエンド

今年もいよいよシンフォニーのシーズンが始まりました。

フェニックス・シンフォニーの今年のオープニングは、ベートーベン交響曲第9番。そうです、クラッシックなんて興味ないし~という方でもたぶん知ってる「第九」です。

この9番はコーラスやソロ歌手を確保したりと、舞台裏の準備も大変そうな曲なので、それだけにオーケストラ側の心意気を感じますよね。

わたしはベートーベンの9つある交響曲の中で9番が一番好き。1年に何度でも聴きたいくらい好きです。

だからフェニックス・シンフォニーがほぼ毎年9番を演奏してくれるのはとても嬉しいのです。前シーズンの9番のときは行けなかったので、今回の9番をとても楽しみにしていました。

楽譜
第九が好きすぎて楽譜も持ってる

今回一緒に行ってくれたのは、中国出身でヨーロッパ経験の長い、超インターナショナルなお嬢育ちの友人です。彼女がフェニックス・シンフォニーをどう思うかにも興味津々。

金曜の夜がオープニングナイトでした。去年行ったオープニングナイトはイブニングドレスの観客も多く、華やかな雰囲気で盛り上がっていましたっけ。

今年は都合のついた日曜の昼間の公演に行ってみました。お昼はオープニングウィークとはいえ、夜よりカジュアルな雰囲気ですので、より気軽に行けますね。お子様連れの方もお昼のほうが気楽だと思います。

2時スタートだと、どこかでランチを食べてコンサートへ行く昼間のデートにもぴったりですね。わたしたちも美味しいイタリア料理を Forno 301 で食べて、その後コンサートへ。

またコンサート終了は5時前なので、終わった後におしゃれなバーでちょっと飲んでそのままディナーに行ったり、とかのプランもよさそうです。

もちろんランチもディナーもずっと一緒?というラブラブカップルは、コンサートの前も後もラブラブしててくださいね^^

パスタ エッグプラント・パルメジャーノ
コンサート前にForno 301 でランチ

 

凄いゲストに釘付け

コンサートはインターミッションをはさんで前半と後半にわかれていて、誰もが知っているメインの大作(このコンサートではベートーベンの第九)は後半のお楽しみで、前半はあまり知られていない通好みの曲や、アメリカの新進作曲家の最新作とかが演奏されることが多かったりします。

ですが、オープニングナイトのような最初からガツンとやらないといけない場合は、前半でもおおっ!と心を奪われる確率が高いです。

去年のフェニックス・シンフォニーのオープニングはメインがストラヴィンスキーの「春の祭典」。

それよりも心に残ったのは、前半のチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op. 35」。Philippe Quint というヴァイオリニストがあまりにも素晴らしくて大感動。その日以来この曲は繰り返し聴くようになりました。

パイプオルガン
ハイデルベルクの教会のパイプオルガン

今年は前半がバーバーという作曲家の「オルガンと管弦楽のためのトッカータ・フェスティーヴァ Op.36」でした。恥ずかしながらまったく知らない曲で、何も期待していませんでした。

しかし!!! パイプオルガンのメロディーを聞きながら「ドラキュラとかが出てきそうな音よね」などとどうでもいいことを考えていると、ある時点で、なんとオルガニストが両足でメロディーを弾いているのに気づいて釘付けに!!!

こんなの初めてみました!伴奏系の和音とかではなく、速いメロディーを足で弾きまくっているのです。まるでタップダンスみたい。

凄かったです!

Paul Jacobs というわたしの友人とまったく同姓同名のオルガニスト。

当然のごとくスタンディングオベーションの嵐。

わたしの席の周りの観客もみな「なんだったんだ、今のは!!!」という嬉しさと驚きの入り混じった表情で立ち上がって拍手し続けていました。ほんとに、なんだったんでしょう!

Paul Jacobs のコンサート情報は彼のウエブサイトにのっています、もし機会があれば一度聴く、というより見てみてほしいです。

Paul Jacobs Concerts

実際に体験していいものを発見すると心を奪われますね!

この感覚、大好きです。

これがあるから、音楽もスポーツもできるかぎりその場に行って楽しみたいんです。

 

2018年の第九

今回のフェニックス・シンフォニーの第九、良かったですよ。指揮者の Tito Muñoz 氏、たぶん第九お好きなんだろうなぁってかんじです。彼の指揮は、ガツガツシャープに何かにとりつかれたかのように髪振り乱すスタイルとは真逆の、なんだろう、途切れないハーモニーを丁寧に紡ぎ出すようなソフトなスタイルで、時折日本舞踊っぽいなと感じることがあります。

conductor screenshot
titomunoz.com Photo by Manuel Braun

ズラリと後ろに勢ぞろいしたコーラスの方々の第一印象は、(大変すみません)シニアグループ(ごめんなさい)。でもでも!このコーラスがものすごく上手で、とても良く声が響いていてよかったのです!嬉しい驚きでした。

第九は女性ふたりと男性ふたりがソロで入ります。わたしが第九で一番好きなのはテノールのパートなので、毎回上手な歌手だといいなぁと期待度高くなってしまいます。

今回はアリゾナ・オペラの舞台でも見覚えのある男性歌手。好きなソロパートはわたしの好みよりテンポが速かったけど、彼のキャラクターにぴったりで個性があってよかったです。こういう第九もいいな!と新鮮な発見でした。

楽譜
第九は第4楽章のこの部分が一番好き?

 

アルツハイマー病患者シャーロットのストーリー

フェニックス・シンフォニーのコミュニティープロジェクトのひとつに、B-Sharp Music Wellness, a W.O.N.D.E.R. Project があります。音楽のもつ癒しのパワーを肉体や精神の健康に役立てることでコミュニティーに貢献するプロジェクトです。

フェニックスシンフォニー スクリーンショット

舞台では、シャーロットさんというアルツハイマー病患者のエピソードが紹介されました。彼女はいつも目を閉じ、首を垂れた状態で車椅子に座り一日の長い時間を過ごしているのですが、フェニックス・シンフォニーのボランティア奏者の生演奏を聴いたとき、突然目を開き、歌を口ずさみ始めたのだそう。

音楽には、ストレスを軽減したり、脳の活動を改善する効果があることが知られていますが、シャーロットさんのエピソードでは、音楽が彼女の脳に届き、ずっと閉まっていた脳の扉を開けたのでしょうね。

 

フェニックス・シンフォニー・コンサートガイド

フェニックス シンフォニーホール

チケット

チケットはフェニックス・シンフォニーのウェブサイトで購入できます。

Phoenix Symphony

 

Symphony Hall

75 N 2nd St, Phoenix, AZ 85004

場所はコンベンションセンター のお隣、ホテル Hyatt Regency の斜め前です。

周辺には、フェニックスでメジャーなコンサートが開かれる Talking Stick Resort ArenaComerica Theatre もありますので、参考までに下の地図に印をつけています。

このふたつの会場では通常入場時にセキュリティーチェックがあり、そのために長い列になることが多いので、時間に余裕を持って出かけるのがおすすめです。シンフォニーホールでは現在のところセキュリティーチェックはありません。

フェニックスダウンタウン地図

駐車場

駐車場は周辺にたくさんあります。わたしがよく利用するのは Chase Tower Parking(地図P) です。

この日はイベント料金一律15ドルで、N 1st ストリート側の入口からしか入れませんでした。

駐車場によってはイベントの日は現金のみのところもあります。

 

チケット窓口

シンフォニーホールへの外の階段を上がると、右手にチケット窓口があります。オンラインでチケットを買うと郵送、自宅で印刷、Will Call (会場でチケット引き渡し)のオプションがありますが、Will Call で購入した人は Will Call の表示のある左側の窓口で苗字を言うとチケットを渡してくれます。

 

シンフォニーホール

入口でチケットをスキャンしてもらって中に入ります。そのときにたいていあなたの席はどこどこと、最寄りの観客席の入口を教えてくれます。

入口右側にクロークがあります。大きな荷物やかさばる上着は預かってもらいましょう。

ロビーには何か所か売店があって、飲み物とスナックを買えます。フェニックス・シンフォニーホールの素晴らしいところは、飲み物を席に持ち込めること!アメリカのコンサートホールは持ち込み不可のところが結構あるので、これは嬉しい?

わたしはシャルドネを飲みながら好きな曲の生演奏を聴くのが好きです。好きな飲み物片手にリラックスしていると、万が一オーケストラに致命的に下手な奏者がいたとしても、

「あら、個性的な演奏ね」

「ハラハラドキドキ、スリル満点だわ!」

と寛大な気持ちになれます。(あ、フェニックス・シンフォニーにがっかりしたことはありません。)

ワイン

遅刻すると演奏中の曲が終わるまでは中に入れません。気を付けてね。

わたしは一度友人とのランチが楽しすぎて時間を忘れ遅刻(呆)、最初の短い曲をのがしたことがあります。その曲はまあどうでもよかったので(すみません)、私的にはロスは少なかったのですが…。

その日に限って好きなピアニストを独り占めな距離で見ようと超前方の席だったので、曲と曲の間で係員に案内されて席に着いたときには、まるで会場中に「わたし遅刻しました!」と宣言しているようでした(泣)。

あと、わたしは最上階のバルコニー席が好きなのですが、シンフォニーホールはバルコニーのどこに座っても前の人の頭が視界のじゃまにならないように設計されているようで、とても気に入っています。たとえ身長2 m 越えの超特大アフロヘアの人が前に座っても、たぶん大丈夫です。

(ちなみにカリフォルニアの某オペラハウスは、ちょっと背の高いひとがいると思いっきり視界が悪くなる設計だったので、冗談抜きに女性客同士の口喧嘩が勃発していました。)

 

演奏中のいろいろ

フェニックス・シンフォニー プログラム
第九は4楽章まであります

まず、演奏が始まる前に携帯電話は電源を切るか、絶対に何があっても音が鳴らないモードに設定しておきましょう。

フェニックス・シンフォニーではコンサートの始めに国歌が演奏されます。たいていアナウンスなしにいきなり始まりますので、立ち上がって聴きます。いつも観客が自主的にオーケストラに合わせて歌うので感心しています。

演目が始まったら、曲の一番最後に拍手をするのが通例です。たとえば3楽章(3rd movement)まであるときは、1楽章と2楽章の終わりでは拍手をせずに、最後の3楽章が終わったときに拍手します。

食事に例えると、コース料理を食べるときにいつ「ごちそうさま」を言いますか? 前菜やサラダを食べ終わるごとには言わないですよね? 食事をすべて食べ終わったときに一度だけいいますよね? それと同じです。

とはいえ、感動のあまり1楽章の終わりなどで拍手が聞こえてくることはよくあり、それはそれでいいかなとは思います。演奏が録音されているときなどは、拍手は最後まで待ってね、と指揮者からアナウンスが入ることもありますね。

最後に、演奏が素晴らしかったら立ち上がって拍手をすると、奏者のみなさんにもわたしたちが演奏を楽しんだのがより一層伝わりますね。ブラボーと叫ぶ観客もたくさんいます。

 

おわりに

Photo by Ira Selendripity

フェニックス・シンフォニー コンサートガイド、いかがでしたか?

前述のお嬢育ちの友人も、フェニックス・シンフォニーのコンサートをいたく気に入った様子でしたよ。

コテコテの正統派クラシックだけではなく、スターウォーズやハリー・ポッターなどの映画音楽、ディズニー、ジャズ、ロック、ブロードウェイ・ミュージカルなど幅広い演奏内容なので、お好みのジャンルでシンフォニーを楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

おすすめ⇒シンフォニーホール近くのおすすめレストランです

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